カラフルで食べることもできるという野菜シート・ベジートが大きな話題になっています。
長崎県平戸市での開発には10年以上かかったそうです。どのように、困難を克服して完成に至ったのでしょうか?
野菜シートは長崎県でこうして開発された
まず、話題のベジートの特徴を見てみましょう。
野菜シート・ベジートの特徴
・着色料、保存料は一切使われていません。
・製造過程で加熱するためビタミンCは減少するものの、それ以外の栄養素と食物繊維はキープされるという。
・賞味期限は1年間、常温保存が可能なことから野菜の栄養を摂取できる保存食となる。
・水につけることで、より柔らかくなり、さまざまな形にアレンジすることができる。折り紙の鶴も折れるという。
・規格外の野菜を有効活用するので、自然に優しい。
環境・人にやさしい商品であるとともに、人口3万人の過疎化が急減に進む
本社がある長崎兼県平戸市に新たな産業を生み出すことで地域の活性化にも寄与してます。
東京のテイクアウトカフェ「PIT IN CLUB 六本木ヒルズ」で、
野菜やエビなどを巻いた「ベジロール」として提供されている(AERA2017.10.16)
2017年12月からはフランスやイタリアの星付きレストランも使用
通販での購入は、Amazonでは以下の通りです。
VEGHEET(ベジート) carrot(にんじん) 50枚入り 野菜シート 3780
5枚入り 在庫切れ
長崎県内のよかろ物産もネット販売を行っているそうです。
www.yokaro-bussan.com
VEGHEETにんじんシート10枚入 750円
VEGHEETだいこんシート10枚入 750円
なお、東京都内では、イトーヨーカドー大井町店、大森店、木場店の3店舗で販売しているそうです。
では、10年以上かかったという開発はどのようにしてなされたのでしょうか?
(長崎県農商工連系ファンド事業採択書参照)
開発の経過について
1999年ごろ 現在株式会社アイル代表の早田圭介さんが、熊本県の海苔メーカーで野菜をシート状にする開発が行われているのを見学して
衝撃を受けたそうです。海苔メーカーはその後、廃業したため、早田圭介さんが何とかしたいとこの事業を引き継ぐも、
当時は紙を食べているようなゴワゴワした食感など問題点が多くて、とても商品にはならない状態であった。
2005年 この事業を産学官連携事業に応募し、県の紹介で長崎女子短期大学と商品の共同研究を開始した。
2006年 食感の問題を解決できたものの、資金不足などから事業化まではできなかった。
2008年11月 第6回ビジネスプランコンテストで「野菜のり事業」がグランプリを受賞し、
資金調達が可能となり事業化することになる。
2009年6月12日 長崎県農商工連系ファンド事業に採択される。
2011年11月11日 製造法特許を出願する(特願2011-247121)。
2015年7月3日 特許が成立し、登録される(特許5771125)。
2017年9月 現在の商品量産化に成功し、本格販売開始する。
では、完成した製造方法を推測してみます。
ベジートの製造方法
野菜シートで、発明者が早田圭介さんの製造特許は上記1件のみですので、
この権利の範囲が実際の製法を含むものと推測します。
登録された特許の請求項は次の通りです。
【請求項1】
細切された野菜又は果物に、該野菜又は果物1.0重量部に対して1.0ないし3.0重量部の水と、
セルロース分解酵素及び/又は植物細胞分解酵素を加えて酵素処理する酵素処理工程と、
前記酵素処理工程で得られた酵素処理野菜又は果物に、酵素処理されていない細切された野菜又は果物を
前記酵素処理野菜又は果物の固形分重量部に対して0.6ないし4.0固形分重量部加えて混合し、
次いで、海藻由来多糖類を該混合物100重量部に対して0.3ないし5.0重量部加えて加熱混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物をシート状に広げた後、乾燥する乾燥工程とを含むシート状食品の製造方法。
野菜シートとして、要約しますと、野菜に水と分解酵素を加えて、酵素処理し、これに酵素処理されていない細切された野菜を、規定量加え、
海藻由来多糖類(寒天など)を規定量加えて、加熱混合し、これをシート状に広げた後、乾燥するというものです。
共同発明者の橋口亮氏は長崎女子短期大学の食品加工学、食品科学を研究分野とする教授で、
研究テーマは長崎県の食材を利用した加工食品の研究とのことですので、
分解酵素の添加量や使用法、原料の割合など、食感を改良する鍵となる技術に寄与されたと思われます。
かなりの紆余曲折を経て、10年以上かかってこの野菜シートが完成されたということがよくわかります。
次にこの野菜シートについてのネットの反応を見てみましょう。
野菜シートへのネットの評価は?
長崎の会社が開発したベジシート。
海苔のように巻いたり切ったりして使えるシート状の野菜。
原料は野菜と寒天のみ。常温保存で賞味期限は1年。5枚350円。https://t.co/QIqBV8Kpewこれはキャラ弁活が捗るのでは。というか普通に楽しそう
— 山下 二子 (満身ソォーイ) (@yam_NIKO) 2018年5月7日
へえ、よく出来てるな。美味いのかな。
カラフルで食べられる野菜シートが話題 https://t.co/4wHPSfmHAY
— はひ太 (@trialanderror50) 2018年5月7日
捨てられるはずの野菜をシート状にした「野菜シート」が有能すぎる https://t.co/HioBI2lacv @narumiさんから 野菜をペーストにして乾燥させ、シート状に加工したもの。原料は野菜と寒天のみで、野菜の色味をそのまま活かした食材。形やサイズの違いで出荷されない「規格外の野菜」でできている。
— やまんば (@yamanba_iwaki) 2018年5月3日
野菜シート、いいアイディアだと思う。子供も食べてくれそうだし。まだ置いてる店舗少ないのね
— ハシナ (@hhashina) 2018年5月2日
イオンとかで普通に売ってほしい。保存食になって、着色料無しって良いね。で、クックパッドとかで、この野菜シートのレシピがたくさん載るといい。
— まる (@nwa0329) 2018年5月1日
*規約に準じて掲載しております。もし掲載不可でしたらすみやかに削除しますのでお問い合わせください。
とても評判が良さそうです。工夫すれば野菜嫌いの子供にも良いかもしれません。
まとめ
開発の歴史を見ますと、これほどの評判の良い製品が、資金不足などで、
なかなか事業化されなかったという日本の現状が見えてきます。
この過程を事業者や銀行、役所など皆が学び、ぜひ新しい商品化に生かして、
日本の技術力の底上げに寄与してもらいたいものです。
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