大坂なおみが、全米オープン決勝で、セリーナ・ウィリアムズを破って、日本選手初のグランドスラム制覇をし、
優勝賞金380万ドル(4億2180万円)を獲得しました。
なぜこんなに途方もなく高額なのでしょう?
大坂なおみの賞金が高額なのはなぜ?
全米オープンの女子シングルス優勝者の賞金額は、四大大会の中でもトップで、これまで年々増加してきました。
2012年 190万ドル (2億1090万円)
2013年 260万ドル (2億8860万円) 37%増
2014年 300万ドル (3億3300万円) 12%増
2015年 330万ドル (3億6630万円) 10%増
2016年 350万ドル (3億8850万円) 6%増
2017年 370万ドル (4億1070万円) 6%増
2018年 380万ドル (4億2180万円) 3%増
注:1ドル=111円と換算
では、全米オープンの賞金がこんなに高額な理由をみてゆきましょう(Wikipedia参照)。
世界最大のスポーツイベントである
ニューヨーク市で開催される全米オープンは、年に一度のスポーツイベントの中で世界最大の規模を誇っています。
70万人以上のファンが詰め寄せ、チケット収入は約1億ドル(約120億3,000万円)にのぼります(2015年)。
チケット売上、スポンサー料、放映権、売店の売上による総収入は年々着実に増加しています。
これに拍車をかけたのが、2013年のスポーツ専門局ESPNの参入で、2015年から11年間にわたる米国内の独占放映権を、
従来の年間放映権料の2倍に近い8億2,500万ドル(約992億7,000万円)で獲得したことです。
しかも、テニスは視聴者の半数以上が国外のファンということもあり、テニス人気は全世界にひろがり、
放映国は201カ国にのぼるためこの高額の放映権も大きな収益源となります。
日本では、現在WOWOWが独占放映権を持っており、高額の権料を支払っているとみられています。
さらに多くの大企業のスポンサーがついています。
2016年を例に挙げると、スポンサー数は24社に及び、チェース銀行、JPモルガン(金融コングロマリット)、American Express、シチズン、
エミレーツ航空、エビアン、ハイネッケン、IBM、ティファニー、ESPN(スポーツ専門局)など各業界の有名企業が名を連ねています。
2018年も21社が継続してスポンサーについています。
これだけのスポンサーが名を連ねる理由は、観客の数だけではなく、
そのステイタスが高く、高年収、高い高学歴のエリート層の人間が多く集まっていることにあります。
2014年の全米オープンを例に挙げると、80%が8大卒以上の学歴の持ち主で、男女比は43対57と女性が多く、
スポンサー各社にとってが絶好のマーケティングの場所となっています。
なぜ賞金額が男女同一?
他の多くの競技と違い、この大会のシングル優勝賞金は男女同額です。
賞金が男女同額になったのは、1973年からで、当時のトップ選手だった
女子テニスプレーヤーのビリー・ジーン・キング夫人(米国)によるところが大きいのです。
彼女は、全豪オープン:1勝(1968年)、全仏オープン:1勝(1972年)、ウィンブルドン:6勝(1966年-1968年・1972年&1973年・1975年)、
そして全米オープン:4勝(1967年・1971年&1972年・1974年)の優勝を成し遂げている女子テニス界の大スターでした。
1960年代後半テニス4大大会でも賞金制度が導入されましたが、この当時は「男女の賞金格差」が大きな問題になっていました。
1972年になっても女子テニス選手に与えられた賞金は男子の8分の1ほどで、男女の賞金格差はますます大きな問題になっていました。
キング夫人はアメリカで1970年代初頭に起こった男女同権運動でリーダーシップを取り、男子選手たちから離脱した「女性によるテニスツアー」を提唱し、
これが1973年に「女子テニス協会」としての発足につながります。
1973年9月20日、キング夫人は往年の男子選手、ボビー・リッグス(当時55歳)と有名な「男女対抗試合」を行いました。
男女対抗試合は“The Battle Of The Sexes”(性別間の戦い)と銘打たれ、テキサス州ヒューストンで行われた試合会場には3万人を超える観客が集まり、
テレビ中継でも大勢の人々が見守りました。キング夫人はリッグスに 6-4, 6-4, 6-3 の3セットのストレートで勝利を収め、女性の持ち得る力を証明しました。
この試合をきっかけに、興行としての「女子テニス」が発展し始め、キング夫人はその後も女性の権利のために戦い続けました。
これが全米オープンの賞金が男女同一となった経緯です。
なお、ダブルスでキング夫人は相性の合ったマルチナ・ナブラチロワと組み、女性の権利のために戦う姿勢をナブラチロワに見せて影響を与えたそうです。
ナブラチロワも最近、ウィンブルドン・テニス選手権におけるBBCコメンテーターの仕事について、ジョン・マッケンロー氏はナブラチロワ氏の
「少なくとも10倍以上」の報酬を得ていると、批判するなどしています。
大坂なおみの高額優勝賞金についての日本の反応を見てみましょう。
高額優勝賞金へのネットの反応
それにしても優勝賞金にびっくりした。流石アメリカという感じ。まさにアメリカンドリーム。
これから周囲の目や期待・重圧などあるだろうが、今の彼女なら
きっと大丈夫だろう。チームのサポートがこれまで以上に重要になる。
水を差すわけじゃないけど、女子の賞金が男子と一緒なのはおかしい。男子テニスの方が圧倒的に人気だし、セット数も多い。セレナは男女平等にしないとって言うけど、人気競技の方がお金もらえるのは当たり前のことでしょ?
でも、それ以上の快挙かもしれない。
夢があるね。
今後はスポンサーも増えて、さらに凄いことになるね!
凄い快挙!
20歳でまだまだ先も長いし楽しみです
大坂なおみへの賞賛と今後に期待する声そして、少々の心配です。
出典:ヤフコメ
まとめ
全米オープン女子シングルス優勝賞金がこんなに高額になった経緯を見てきました。
女子と男子が同額なのは、試合数や、観客数からいっておかしいのではとの声もありましたが、人気は決して男子に劣らず、
ここまで持ってきたのもキング夫人など先人の努力の結果ですので、決しておかしいとは思えません。
高額の賞金に押しつぶされるような大坂なおみではないと思いますが、
これまでの素直なテニスに真摯に向き合う明るい選手として、ますますの活躍を期待したいものです。
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