23日目に広島市で逮捕された平尾龍磨容疑者の逃走過程で、一番の疑問はなぜ向島から本州まで夜の海を泳いで渡ることができたかです。
当日の潮流、水温、気象を細かく調べると見えてきたものがあります。
目次
平尾容疑者はなぜ海を泳いで渡れことができたかが分かった!
供述によれば、「尾道水道を4月24日夜に泳いで渡った」「1時間かかった。死ぬかと思った」とのことですが、
地元の方によれば、
「遠泳に自信があり、潮止まりを狙えば十分泳いで渡れる」「今の60〜70代は誰もが水道を泳いでいた。」という話もあれば、
「地元の漁師の間でも、潮の流れが速いと有名な場所です。私も昔から、泳ぐのは危ないと教えられてきました。
(平尾容疑者が)泳いで本州に渡ったと聞き、かなり驚いています」という人もいて、
運動神経が良いとされる平尾容疑者にとっても、天候の悪い夜に泳いで渡るのはそう簡単ではないと予想されます。
では当日の海の条件はどうだったのかを見てみましょう。
4月24日夜の尾道水道の諸条件
1. 距離
潜んでいた向島と尾道の本州側の距離は尾道水道を隔てて最短で約200m
これは、全く波のないプールであれば、普通のスイマーなら50mを1分前後で泳げますので、
約8分で泳げる距離となります。距離が問題とはなりません。
2. 潮の流れ
4月24日から25日にかけての尾道水道の潮流の変化は以下のグラフの通りです(県立総合技術研究所 水産海洋技術センターのデータより)。
尾道水道の潮流の変化
4月24日0時を0時として、25日24時を48時と表示しました。
泳いだ時刻と推定される24日24時から25日1時(24-25)には潮流が0となる凪の時間帯となっています。
3. 気象条件
尾道市の当日の注意報、警報を見てみましょう。
尾道市の気象注意報の発令状況
4月24日 18:19に暴風・強風注意報と波浪注意報が発令され、4月24日 20:31に大雨・洪水注意報が発令されていますが、
4月24日 23:46にはすべてが解除されています。この時刻に泳ぎだしたか、泳いでいる間に、雨風や波はかなり収まったと思われます。
4. 海水温
少し離れていますが、呉市にある県立総合技術研究所 水産海洋技術センターの先の海水温は、
4月24日、25日それぞれ15.2℃、 14.2℃ということですので、尾道水道もこの程度と推測されます。
筆者は先日プールのボイラーが故障で、少々寒いのを我慢して泳ぎましたが、通常より2度低い26℃、
4月に沖縄の海開きで泳いだ時はもっと寒かったのですが、水温はだいたい22度~23度ぐらいでした。
従って、15℃前後というのは、かなり厳しいとは思いますが、
例年に比べて暑い今年の4月でもあり、泳げない水温ではないと思われます。
5. 明かり
海で泳ぐ際、一番怖いのは、目標を失って自分がどっちへ向かっているか分からなくなることです。
向島から尾道水道を超えて、尾道市を夜間の写真で見ますと、工場らしき明かりが灯っているのが見えます。
即ち夜中であっても、確実に目標を見極めることができたと推測されます。
では、平尾容疑者は、どこまで計算して、この行動に出たのでしょうか?
恐らく距離、明かりの有無については、頭にあり、隠れていた別荘の屋根裏でテレビを見ていたとのことですので、
気象予報や場合によっては、潮の予報を確認していたかもしれません。
そうだとするとすべて計算づくで、捜査の範囲が身辺に迫ってくると考え、この日時に決行することを決心したのかもしれません。
それにしても、泳いでいるときに、気象注意報がちょうど解除されたというのは運にも恵まれた可能性があります。
大雨の後とあって、海から上がってずぶぬれでも疑われることなく、夜の闇に紛れて、尾道市の空き家に潜み、着替えも済ませたのでしょう。
次に平尾容疑者逮捕や、海を泳いで渡ったことについてのネットの驚きを見てみましょう。
平尾容疑者逮捕に関するネットの反響
逮捕された平尾容疑者の行動力すげえな
1000人近い警察官やヘリの捜索をかい潜って本州に脱出するって
映画の主人公かよ pic.twitter.com/Fr3fG6rpOA
— ゆるふわ怪電波☆埼玉 (@yuruhuwa_kdenpa) 2018年4月30日
平尾容疑者、やっぱり平泳ぎしたのかな
— 夢eminem (@MOOTAAKAA) 2018年5月1日
脱走受刑者・平尾容疑者が広島市内で身柄確保された今、数日前の広島県警の「長年の捜査員としての勘ですが、平尾は必ず向島に潜伏してます。間違いありません」というドヤ顔のコメントをテレビ新広島で繰り返し流す#もともと残酷で有名だった
— 大沢愛 (@ai_oosawa) 2018年4月30日
報道されてる平尾容疑者の逃亡理由「人間関係が嫌だった」って受刑者同士の話だと思いきや、刑務官にいじめられてるというよりヘビーな内容だった。潜伏先に抗議の手紙まで残してる。これはちゃんと調査して事実なら改善しないとダメでしょ。https://t.co/TaE2pQHGUk pic.twitter.com/Ul3y4ocki1
— かふお (@kafuka_tan) 2018年5月1日
平尾龍磨容疑者、別荘で自身の報道をチェックしていた?
→潜伏したとみられる別荘の屋根裏に、テレビや布団などの生活用品
→広島、愛媛両県警の捜索で、別荘は少なくとも2回点検したが、当初は気付かなかったhttps://t.co/u7lTRsKRsn— 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年5月1日
*規約に準じて掲載しております。もし掲載不可でしたらすみやかに削除しますのでお問い合わせください。
不謹慎なコメントもありますが、いずれも予想を超えた行動力に驚いています。
まとめ
我々からすると、金もなしにどうして逃げることができるのかとつい考えてしまいますが、体力と盗みや侵入の技術をもっていれば、
交通手段の車、バイクは自由に使え、寝泊りする場所もどこへでも侵入して確保でき、お金や食料、衣服もいつでも調達できるということになります。
捜査関係者、向島住民の方大変なご苦労だったと思いますが、今回の捜査が長引いたのも、
あるいは、警察を含め我々の常識が邪魔をして彼の行動を予測できなかったせいかもしれません。
こんなことは滅多にあることではないと思いますが、逃走の動機とされる
「刑務所内の人間関係」も含め、警察、法務省には今後の課題としていただきたいと思います。
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