米国で遺伝子データから家系図を調べるサイトを手掛かりとして、未解決の凶悪犯罪の犯人を特定し、
逮捕されるケースが相次いでいます。その背景を調べました。
遺伝子データサイトで犯人特定が続出している背景は?
これまで、遺伝子データサイトによって、過去の凶悪犯が特定された事件を見てみましょう(washingtonpost参照)。
遺伝子データにより解決に至った事件
1.ルネ・ホワイト(女性)のばらばら殺人事件(英国)
1988年のバレンタインデーでのルネ・ホワイト(女性)のばらばら殺人事件は、この国で最も悪名高い未解決の事件の一つであった。
3人の男性が誤認逮捕され投獄された。大規模な警察の捜索は、真犯人を見つけることができなかった。
2000年代初頭、警察は、犯行現場で、「スカートボード上の塗料層の下で新しいDNAサンプルを発見した」。
このサンプルは、英国国家データベースのいかなるプロファイルとも一致しなかったが、 14歳の男の子と部分的に一致した。
警察ともめた後に、彼のDNAがファイルに残されていたのです。
少年は明らかに殺人事件の後で生まれていたが、彼は無意識のうちに、
警察を彼の叔父に導き、叔父は殺人事件をすぐ白状した。
2.グリムスリーパー連続殺人事件(米国)
ロサンゼルスの警察は、何十年も捕らえていなかった連続殺人犯「グリムスリーパー」のDNAが、刑務所内の男のそれと部分的に一致した。
そしてその男は殺人者の息子であることが判明した。その後、死刑判決を受けました。
しかし、両方のケースとも依然として警察や裁判所の命令で入手したDNAに依拠していた。
ところがアメリカでは、この数年間で、何百万人もの人々が祖先のウェブサイトにDNAサンプルを提出したことで、
警察は一家(遺伝的な家族)のDNA検索を科学的なフィクションのように使ってきた。
3.Canal Killer(運河殺犯)(米国)
1990年代初めから未解決だったフェニックスの二人の犠牲者である「Canal Killer運河殺人犯」の事例を取り上げましょう。
容疑者のDNAはファイルに記録されていたが、FBIデータベースでは誰も一致しなかった。
その後、2014年後半に、警察は会議で系統学者と会い、その事件について彼女に話しました。調査官は彼女にCanal KillerのDNA配列のプロフィールを送った。
2ヵ月後、系統学者は容疑者の姓がミラーだと警察にメールを送りました。
系統学者はFamily Tree DNAとAncestry.comという最もポピュラーなデータベースを使ったのである。
その姓が数週間のうちに警察を殺人犯ブライアンパトリックミラーにたどり着かせた。警察は密かに彼のDNAを集めた
- おそらく捨てられた瓶やゴミから-、そして彼は彼がCanal Killerと同じ遺伝子パターンを持っていたとして、彼を逮捕した。
4.Golden State Killer(カルフォルニア州連続殺人犯)(米国)
1974年~1986年 12人を殺害した連続殺人や性的暴行事件がカルフォルニアで発生。
2018年4月 捜査当局は、遺伝子データの共有サイト「GEDマッチ」に、犯行現場に残されたDNAを登録し、男の親類にたどり着いた。
年齢や居住地から想定される対象者を絞り込み、元警察官ジョセフ・デアンジェロ容疑者(72)の遺留物から採取したDNAと照合し、一致したことから逮捕した。
遺伝子情報をもとに、すれば、犯人の遺留物のDNAを、公開されている遺伝子情報データベースと参照し、
犯人の親族にたどり着け、犯人を絞り込んで見つけることができる時代になりました。
この背景にはなにがあるのでしょう。
背景にあるもの
1. 移民社会の米国では自分の祖先を調べたいとの関心が高く、DNA解析による家系図作成を手掛ける民間サービスが広まっており、
自身のDNA情報を積極的に民間のデーターベースに登録することになっています(米国では1200万人以上の人々が、系図サービスに登録しているといわれる)。
今回記事のGEDmatch以外にも最もポピュラーな、23アンド・ミー(23andMe、500万人以上が利用)と呼ばれる系図サービス提供サイトがあります。
先日のアマゾンプライムデー米国で23andMeは遺伝子テストキットが最も売れた商品の1つとなりました。
2. 遺伝子解析の精度が上がってきた。
以前は遺伝子解析の精度が悪く(英国で83%が間違いということも)、
捜査に使えるレベルでなかったが、最近精度が格段に上がった。
3. 系図データベースに捜査当局を含めた者が比較的容易にアクセスできる
GEDmatch:系図データベースは他のために使用されることがありうるとの断りを使用者に対し行っているが、誰でもアクセスできる。
23andMe:裁判所の命令などがない限り捜査機関に情報を提供しない方針。
規制を行い始めた州もあるが、多くの州は現状に追いついていない。
系図で犯人特定へのネットの反応
犯罪者が捕まるメリットはものすごいでかいでしょ
極論だしあくまで個人的意見だけど、自分の家族が被害者になってこのサイトみたいのがあれば、復讐するかもしれないな
未来はちょっと怖いのかもしれない。
遺伝子だけじゃなくて個人情報みんなそうだと思ってたけどアメリカは違うのか。
これは適正なデータの使用だと思う。
個人的に悪いことはしてないけど、あなたの少し遠い親類が犯罪者でしたっていうのが知らされると今後ちょっとナーバスになるかもな。
情報の開示は絶対にして欲しくない
情報の流出が怖い
悪用されないといいけどね。
出典:ヤフコメ
一部にプライバシーなどを心配するコメントもありましたが、悪用されないようにすれば、
積極的に使って、犯罪をなくせば良いとの意見が多いようです。
まとめ
これまで遺伝子データサイトで犯人が特定された事件と最近特定が続出している背景を見ました。
確かに犯人は現場に、DNA につながる一切のものを残さないで反応に及ぶということは
かなり考えにくいことですので、監視カメラと同様犯罪の抑止には貢献すると思えます。
但し、病歴などを含む個人情報にも関連しますので、データの扱いのルールはきちっと決めておく必要があると思います。
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