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英国がプラ製ストローやマドラーを全面販売禁止!なぜ?

英国政府が、海洋、河川汚染対策として、使い捨てのプラ製ストローやマドラー、プラスチックの芯を使う綿棒の販売を禁じる方針が報じられました。
日本人にとっては、なぜこんなもの禁止にともうひとつピンときません。その背景、理由を調べてみました。

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英国がプラ製ストローやマドラーを全面販売禁止!なぜ?

英国政府は、地球環境保護を目的とした海洋、河川汚染対策の一環として、使い捨てのプラ製ストローや飲料をかき混ぜるマドラー、
プラスチックを芯の原料とする綿棒の販売を禁じる方針が報じられた。その背景、理由を調べてみました。

英国では、年間に85億本の使い捨てプラスチック製のストローが廃棄されているといいます。
メイ首相は「プラスチックごみは世界が直面する最大の環境問題の一つ」として、
英国がこの問題で、世界のリーダーとなる決意を示しています。

今年1月に、2042年までに不要なプラスチック廃棄物をゼロにする「25年環境計画」を発表して以降、
プラスチック粒子「マイクロビーズ」を使った商品の製造を禁止する、使い捨てのペットボトルにデポジット料を上乗せして、
リサイクルした際に返金する制度を導入するなど次々に計画を発表しています。

英国企業にも、これに呼応した動きがあり、
2017年9月には、大手パブチェーン「ウェザースプーン」が今年1月から
プラスチック製ストローを生分解性紙でできたものに変えると発表しました。
2018年3月には、英マクドナルドも同国内の1300店舗で使い捨てのプラスチック製ストローの使用を止めると発表しました。

また、市民の間でも、プラスチック容器に押されて、牛乳全出荷量に占めるガラス瓶入り牛乳の割合が、
1975年の94%から昨年はわずか3%になっていたものを、
プラスチックに不安を抱く消費者からの要望が殺到したことを受け、牛乳配達が復活していると言います。

各国の最近の動きを見てみましょう。

プラスチック規制各国の動き

<EU>2018年1月に、プラスチック包装を2030年までに100%再利用するとの計画を発表しました。
コーヒーカップなどの使い捨てプラスチック製品の使用を段階的に廃止する計画もあります。
これは、EUが収集・分別したプラスチックの半分を輸出しており、その85%を引き受けていた中国が
海外のリサイクル用廃棄物の輸入を禁止する決定を下したことを受けてのものです。

<台湾>今年2月、ストロー、コップ、レジ袋などの使い捨てプラスチック製品を2030年までに廃止する計画を発表しました。
その第一段階として、2020年にはすべての飲食店で使い捨てのプラスチック製ストローの提供を禁止すると発表。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアを含む大型小売店が無料のビニール袋を配布することを禁止していますが、
今年から飲み物などを販売する売店やパン屋などの小規模店舗にも同じ規制を導入する方針とのことです。

<米国>ワシントン州・シアトルでも今年7月から、飲食店で使い捨てのプラスチック製ストローの使用が禁止される。
その他カリフォルニア州の一部地域でも同様の動き。
マイクロビーズについては米国で15年に規制法が成立しました。
製造を禁じ、販売も来年6月に終了。英国やフランス、カナダなども法的規制を準備しているといいます。

<カナダ>使い捨てプラスチック製ストローを禁止する動きが広がっています。

では、プラスチック廃棄の何が問題なのでしょう。

廃棄プラスチックの問題点

世界の海に廃棄されているプラスチックの量は1億5000万トンに上り、そのプラスチックを食べるなどして
毎年100万羽の鳥と10万頭の海洋哺乳類が死んでいます。
2014年時点で海に生息する魚の総重量の1/5に達しており、2050年には魚の総重量を上回るとの予測が2016年1月のダボス会議で示されました。

海洋プラスチックごみの中で特に生態系への影響が大きいのが、5㎜以下のマイクロプラスチックです(以下Plastics Japan.com2017年7月26日参照)
1)マイクロビーズと呼ばれるミクロン以下の小さなプラスチック微粒子で、ポリエチレンやポリプロピレンでつくられます。
汚れを落としやすいため、洗顔料や化粧品、歯磨き粉などのほか、メラミン樹脂製スポンジに使われており、
下水処理施設のフィルターを通過し、河川を経て約100トンが海に流れだします。
2)川や海に捨てられたプラスチック製品(レジ袋やペットボトルその他もろもろ)が、
紫外線や波の力で劣化し、5㎜以下の小さな破片になったもので年間100万トン発生すると言われます。

マイクロプラスチックの性質:単位重量当たりの表面積が大きくなり、海水中に存在するPCBなどの有害な有機化合物を吸着しやすい。
海鳥や魚類が有害物質を高濃度に濃縮したマイクロプラスチックを餌にするオキアミと間違えて誤食する。
これらの固体数の減少が始まると同時に食物連鎖を通じて人間の体内にもマイクロプラスチックに濃縮された有害物質を取り込みます。

では、日本の現状を見て行きましょう。

日本の現状

世界の動きに比べて日本の動きが鈍いように感じられます。
プラスチック回収率の優等生という意識が強いためか、1人年300枚のレジ袋を使うにもかかわらず、
使用を控えるのは、CO2対策のためで、海洋汚染を防ぐとの意識はほとんどないようです。

また、筆者自身もマイクロビーズが洗顔料や化粧品、歯磨き粉や、メラミン樹脂製スポンジに使われ、
そのまま下水に流しているという意識は全くありませんでした。

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プラ製ストロー等禁止へのネットの評価

*規約に準じて掲載しております。もし掲載不可でしたらすみやかに削除しますのでお問い合わせください。

概ね賛成の意見が多そうですが、もうひとつピンと来ていないのかという気もします。
海洋汚染の深刻さを考えますと、牛乳のガラス瓶と同じく、昔の藁のストロー復活もありという気がしてきました(strawとはもともと藁の意味ですから)。

まとめ

日本の現状は、レジ袋に対しての法的規制や数値目標はなく、マイクロビーズについても、
業界団体が各社に使用中止を呼びかけた自主規制だけというありさまのようです。

対策としては、生分解性ポリマーへ代替(現状1%以下)、リサイクルしやすいプラスチック製品の開発、
マイクロビーズになりにくいプラスチック製品の開発などが考えられますが、
このまま行くと、使い捨てプラスチックの製造を禁止するという方向に行かざるを得ないのではないでしょうか。

海洋国日本の身近で切実な問題として、真剣に考えて行く必要があると思われます。

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