健康

抗菌薬が乳幼児のアレルギーリスクを高めるのはなぜ?

2歳までに抗生物質など抗菌薬を服用した乳幼児は、5歳でのアレルギー疾患発症のリスクを高めるとの
研究結果が発表されました。なぜなのでしょう?

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抗菌薬服用が乳幼児のアレルギーリスクを高める理由とは

2歳までに抗生物質など抗菌薬を使用した日本の乳幼児を対象にした研究で、使用しない乳幼児に比べて、
5歳時点でのアレルギー疾患の発症リスクが高くなるとの調査結果が国立成育医療研究センターのチームによって発表されました
(Annals of Allergy, Asthma & Immunology Volume 119, Issue 1, July 2017, Pages 54-58参照)。

結果に基づき、抗菌薬の影響を表にまとめると、以下のようになります。

3種のアレルギー疾患でみると、喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎それぞれで、値は異なるものの、
1.40から1.70と、使用しない乳幼児に比べてかなり高くなっています。

さらに、抗菌薬の種類と、アレルギー疾患の種類による関連もあり、最も抗菌薬として使われるセファム系抗生物質では、
喘息と鼻炎の発症率が高いのに対し、2番目に多く使われる マクロライド系抗生物質では、アトピー性皮膚炎の発症率が高いとの結果が出ています。

ここで、抗菌薬とは細菌の増殖を抑制したり殺したりする働きのある化学療法剤のことで、良く知られている微生物がつくった化学物質である
ペニシリンなどの抗生物質とその他の合成抗菌薬を含めて、抗菌薬と呼ばれています。

抗菌薬は細菌感染症以外への効き目はなく、ウイルスや真菌など、細菌以外が原因となる例えば風邪のような感染症については、
抗ウイルス薬・抗真菌薬と呼ばれる薬を用います。

現代社会では抗菌薬が広く使われており、細菌が抗菌薬に接することも多いため、
抗菌薬が効かない細菌である耐性菌が出現することが抗菌剤使用の最大の問題となっています。

診療報酬改定で、厚労省は、風邪で抗菌薬を処方しない医者に加算しているほどです(小児抗菌薬適正使用支援加算)。

この論文でも、研究の目的として、次のように記述されています。

喘息、アトピー性皮膚炎およびアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患は、
世界中で一般的な慢性疾患であり、医療費に大きな経済的負担をもたらしています。

日本の子供における喘息および鼻結膜炎の有病率は、アジア太平洋地域で高い。
2015年に厚生労働省は、15歳未満の外来患者のうち最も一般的なものの3つがアレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎であると報告しています。
また、2013年から政府の報告書は、日本の学校の子供の食物アレルギーが著しく増加したことを記録しています。

すなわちアレルギーの問題は、特に日本の子供にとって、喫緊の課題となっているようです。

また、赤ちゃんが抗生物質を服用すると食物アレルギーリスクアップという2016年のサウスカロライナ大学の研究もあります。
http://aacijournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13223-016-0148-7
生後1年以内の乳児が抗生物質を服用すると病原菌だけでなく腸内の有用菌まで一掃してしまい、
このことが食物アレルギーにつながる恐れがある。また、服用回数が増えるほどリスクが高まるとのことで、
・生後1年以内に抗生物質が処方された子供はされなかった子供と比較して食物アレルギーと診断される割合が1.22倍高かった。
・生後1年以内の抗生物質の処方回数が3回で1.31倍、4回で1.43倍、5回以上で1.64倍も食物アレルギーのリスクが上昇した。
・抗生物質の種類別では、スルホンアミド処方で1.54倍、セファロスポリンで1.50倍、マクロライドで1.36倍、
ペニシリンで1.19倍も食物アレルギーリスクが高まったということです。

また、イギリスでの乳幼児を対象とした研究でも、2歳までに抗生物質を与えられた子どもは、
7歳半の時点で喘息の発症率が高くなることが示されました。
また、喘息を発症する確率は、抗生物質の服用回数が多い子どもほど、高くなっていたということです。

抗菌薬(抗生物質)の服用がアレルギーを引き起こすのはなぜでしょう(NHK健康チャンネル参照)。

アレルギーを引き起こす推定メカニズム

私たちの腸には、「腸内フローラ」とよばれる1000種類以上とも言われるさまざまな腸内細菌が住み着き、
私たちの健康に大きな影響を与えています。

これらの細菌は、私たちが産まれた直後から私たちの腸に入ってきて、
やがては100兆個以上も腸に定住するようになると言われています。
あかちゃんは、出産時にお母さんの腸内細菌”です。産道を通って赤ちゃんが産まれてくる際、
お母さんからプレゼントされた腸内細菌をタネとして、その後、腸内でビフィズス菌を大増殖させて、
1000種類とも言われる腸内細菌たちが暮らす大人と同じ腸へと育っていくと考えられます。

ところが、この大切な腸内細菌たちが、抗生物質などの抗菌薬の服用によって大量に死んでしまうことがわかっています。
幼い時期に抗生物質を不必要に多く服用した場合、大切な腸内細菌が死んでしまい、
健全な腸内フローラが育つことを妨げてしまうおそれがあり、これが、
小児アレルギーの発症にも関わっているのではないかと、現在考えられ始めています。

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抗菌薬服用が乳幼児のアレルギーリスクアップへのネットの反応


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抗菌薬をむやみに使うべきでないとの理解は大分深まったようです。

まとめ

耐性菌の話はかなりポピュラーになって、少し熱がでるとすぐ、抗生物質を要求する親は少なくなったとは思いますが、
特に乳幼児には、アレルギーについても十分考慮しないといけないことが、分かってきました。

今回、日本の乳幼児に対する系統的なデータが出たことで、抗生物質など抗菌剤の正しい使い方がますます必要とされてきました。

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